快適性と資産価値が長く続く家の「作り方 と基本的な考え方」
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快適性と資産価値が長く続く家の「作り方 と基本的な考え方」

2022年7月8日

日本の住宅の寿命は、わずか30年程度であるといわれています。これは日本の住宅が「質よりも価格」を優先して、「グラスウール」という安価ではあるが、施工がとても難しい断熱材を用いていることが主な原因です。グラスウールの断熱材を使用したお家で、壁内結露が起こると、カビが発生して、木材などの構造を腐らせてしまったり、水分の重さで、断熱材が垂れ下がって、家の断熱性がかなり低下してしまうのです。木造住宅との相性が良いとは言えない断熱材をずっと使ってきてしまっているのです。

30年という寿命は、アメリカのおよそ60年や、イギリスのおよそ80年と比較すると大きく下回っています。もちろん安く家づくりができるのは良いことですが、安かろう悪かろうの住宅では快適性・資産価値が期待できません。

また住宅の寿命が30年でも、私たちの暮らしはそれよりも長く続きます。そのため、これからの住宅は耐久性2倍を目指し、快適性・資産価値を長続きさせる住宅をつくるべきなのです。

この記事は、短寿命と言われている現在の日本住宅を”長寿命な住宅へ変えるヒント”についてご紹介するブログシリーズです。

今回は、快適性・資産性が長く続く家づくりの「基本となる考え方」をご紹介します。

 

何十年後も快適で資産価値の高い家を作るカギ:4つの”FORT”

将来のことを考えて快適性・資産価値の高い家をつくる。そのためには、「自分の暮らしにとって最適な性能とは何か」を判断し、実現する必要があります。とはいえ、これをイメージすることは容易ではないでしょう。
このときに参考になるのが、住宅の寿命を伸ばす「4つのFORT」という考え方です。この考え方を家づくりに取り入れることで、快適性と資産価値が長持ちする家の実現に近付くことができます。
それぞれ重要な要素ですので、ひとつずつ見ていきましょう。

「堅固性(FORT)」とは
「快適性(comFORT)」とは
「企業努力(efFORT)」とは
「資産価値(FORTune)」とは

 

「堅固性(FORT)」とは

中世ヨーロッパに建てられたお城は、現在でも壊れることなく美しい状態で残っているイメージがあるかと思います。住宅はいわば家族を守る城壁ですから、お城と同じように環境変化や経年劣化に負けない必要があります。
つまり、60年ものあいだ家族を守るためには「堅固性(FORT)」が重要なのです。構造的に堅固な家づくりを行えば安心・安全な暮らしが手に入ります。

 

「快適性(comFORT)」とは

どんなにオシャレな家でも、住みやすい家でなければ長くは住めません。たとえば次のような不満がでる家はどうでしょうか。

動線が不便で毎日使いにくい家
夏は暑く冬は寒い家
通気性が悪く息苦しい家

これでは家にいるだけで疲れてしまいます。また毎日の光熱費も嵩んでしまうでしょう。そこで重要になるのが居心地が良いことと、そして長期的なコストパフォーマンスに優れる家づくり、つまり「快適性(comFORT)」です。
間取りの使いやすさと住宅性能が合わさることで、真の快適性が実現されるのです。
快適な家づくりができれば、光熱費や維持修繕にかかるランニングコストを抑え、しかも使いやすい、「本当の意味でローコストなお家」が手に入ります。

 

「企業努力(efFORT)」とは

優れた住宅を建てるためには、住宅会社が各エリアごとの特性を正しく理解し、そのエリアに最適な住宅とは何かを知っている必要があります。またその理想的な住宅を実際に建てることができる、十分な施工力も欠かせません。知識と技術の両方が不可欠なのです。もし、これらを持ち合わせずに家づくりが行われてしまうと、先に挙げた堅固性や快適性を実現できません。
そこで重要となるのが「企業努力(efFORT)」です。高品質でありながらリーズナブルな価格で住宅を提供すること。そして日々勉学を惜しまず建築やそれに関わる幅広い知見に触れること。住宅会社がたゆまぬ企業努力を行い、依頼者に寄り添って設計することが「良い住宅をつくる」カギを握っています。
「家とはこうあるべきだ」という固定観念にとらわれず、常により良い答えを求めて進化し続けることこそ、本当の企業努力であるといえます。

「資産価値(FORTune)」とは

上記3つのFORT、それらの条件を満足した家づくりができれば、自然と「耐久性」が向上し、これによって「資産価値(FORTune)」が高まっていきます。従来の家の寿命である30年を超え、快適性を長く引き延ばした健康的な住宅は、長きにわたって大きな価値を生み出します。

 

お子様やお孫さんが手にする金額は倍くらい変わる

将来のことを考えてみましょう。
お子様やお孫さんが成長していき、いずれは自身の住まいを相続することもあるでしょう。このとき、中には相続した住宅を手放す方もいらっしゃいます。もし4つのFORTを意識した住宅であれば、お子様・お孫さんが手にする金額が倍くらい変化します。
不動産物件は、いつかは何らかの形で手放すものです。あなたの暮らしだけでなく、将来のことも見据えた家づくりを行えば家族全員で豊かな暮らしを手に入れることができます。

家は「掛け算」:個別の考え方では実現できないバランスとは

家づくりは、「掛け算」で考えるべきです。
一般的な家づくりのイメージは、要るものと要らないものを考えていく「足し算・引き算」の考え方になりがちです。ところが、この考えで家づくりを行ってしまうと住宅の全体バランスが悪くなってしまうのです。
「足し算・引き算」の場合、ランニングコストが高くなるだけでなく、生活の動線が崩れて住みづらい家になったり、空調効率などの住宅性能が落ちてしまいます。

建物の要素を個別で考えていくのではなく、コスト・動線・性能の3つの要素を掛け算し、バランスよく設計するのがベストなのです。

 

資産価値を高める3つのポイント

上記でご紹介した「掛け算」による家づくりは、次の組み合わせを掛け合わせることで住宅の資産価値を高めます。

「設計」×「性能」×「コスパ」

これら3つの要素を、ひとつずつ説明しましょう。

設計とは
性能とは
コスパとは

 

設計とは

良い住宅をつくるためには設計が欠かせません。住宅は自分ひとりでつくるのではなく、家族の意見を取り入れ、さらにそれを家づくりのプロである設計者の知識・技術をもって磨き上げていく必要があります。
カッコいい外観や家事のしやすい生活動線を設計するだけではありません。土地探しに始まり、停める車の台数や隣のお家の窓の位置を考えた窓の配置、周りの美しい風景を考えた窓の配置など、良い景色に対しては開放的にするべきでしょう。また周りの住宅など人目が気になる場合は、カーテンが無くても住めるくらいの設計を目指していきます。
このように「使える美しさ」すなわち機能美こそが住宅における設計の目指すところなのです。いかにムダを省き、機能的で美しさを感じられるかを考えて設計が必要です。

 

性能とは

住宅の性能といえば様々あります。耐震性や断熱性、気密性などが代表的なものとして挙げられます。中でも特に暮らしの質に直結し、毎日の暮らしを支えるのが「断熱性」と「気密性」です。これらを高めれば、ランニングコストを抑えながら、冬は暖かくて夏は涼しい家をつくれます。

また、ヒートショックの発生リスク軽減など住む人の健康にまでしっかり配慮できる家づくりができるのです。そのような快適で暮らしやすい家こそが住宅自体の資産価値を高め、孫の代まで住み継いだとしても家の残存価値を高めます。
住宅には耐震性や気密性、断熱性について、高性能な家づくりが必要です。
ただし、あらゆる性能を最大まで高めれば良いということではありません。必要のない性能を持った、いわゆる「オーバースペック」の家は、建築費用が高くなってしまうばかりでお勧めできるものではありません。
極端な例を提示するならば、日本に建てる住まいに、南極仕様の断熱性や気密性は必要ないということは感覚的に理解しやすいでしょう。しかしながら一方で、沖縄県でもヒートショックで亡くなる方がいらっしゃるのも事実です。

温暖地域においても、北東北3エリア(Ua値0.56以下)水準の気密性・断熱性を確保するのが、日本の住宅性能としては妥当であるといえます。

 

コスパとは

資産価値の大きな家づくりを行いたいのなら、コスパを意識した住宅を考えましょう。
コスパというと「安く済ませる」というイメージを持たれがちですが、そうではありません。お金をかけるべきところにはかける、それによって性能や価値を長持ちさせる。これが真の意味での「高コスパ」なのです。
たとえば、安い素材であっても耐久性のあるものを選ぶ、空調性をよくするために複雑な形状の家にしない、などが例として挙げられるでしょう。。こうしてイニシャルコストやライフサイクルコストを意識した家づくりを行えば、ローコストの住宅であってもコストパフォーマンスに優れた家づくりが行えます。
また高ければ良いということもなく、上述のとおり何でもかんでも詰め込んだオーバースペックの家も、イニシャルコスト(初期費用)が高くなってしまうためオススメできません。

家づくりには、土地や建物の価格といった住宅購入時のコストだけでなく、ランニングコストやメンテナンスコストも含めた、長期にわたるコストを少なくしていく考え方が必要です。

まとめ

快適性・資産価値によって、今の日本の住宅平均寿命を伸ばす「基本となる考え方」についてご紹介しました。そのなかでも重要なポイントは次のとおりです。

日本の住宅の寿命が30年と短い理由は「質より価格」の考え方があるため
4つのFORT(堅固性、快適性、企業努力、資産価値)を意識することで住宅寿命を2倍を目指せる
家づくりは「足し算・引き算」ではなく「掛け算」で考えることで最善のバランスが実現する
資産価値を高める掛け算は「設計×性能×コスパ」